わらびもちブログ

短い書評(140字程度)を書くブログ

『法治の獣』春暮康一

生物学メインのSF短編集

 

「主観者」と「方舟は荒野を渡る」が好み

 

自分の意識や体は体内の細胞の生活の結果であり、逆に、自分の生活も大きな知性の一部の可能性があるという様々な驚きを感じられた本

 

本書では地球人は他の生態系に影響を与える側だったが、逆の立場となった未来を想像すると恐ろしい

『流浪地球』劉慈欣

『三体』の作者の短編集

 

表題作は、「地球エンジン」を作って地球ごと宇宙航行をするという、とてつもなくスケールの大きい話で、読んでいて爽快感を感じる

「山」の「泡世界」という世界設定はとても面白かった

自分はとても広い宇宙の一部で、何にも知らずに生きていることを再認識できるSF作品

である

 

『白銀の墟 玄の月』小野 不由美

全4巻の超大作

 

作中の「過去に積み上げた小さな石が、知らぬ間に集まって大きな結果をもたらしてくれた」という言葉が、この話の全てだと思う

 

魔性の子』での辛い経験すら力に変えて、あの幼い泰麒がここまで成長するなんて驚いた

 

貧しい生活の中でも、川に供え物を流していた家族の話には心を打たれた

『黄昏の岸 暁の天』小野不由美

魔性の子』の裏で、十二国記で起こっていた出来事が描かれる。

陽子の王としての成長は喜ばしいが、あんなに希望に満ちていた戴極国がすぐに混乱に陥っていたことへの衝撃が大きい。

 

話はここから!というところでこの巻は終わってしまう。

続刊の出版は18年後。当時のファンは辛かっただろうな。

 

『華胥の夢』小野不由美

十二国記シリーズの短編集

「政治」に焦点があり、「民」の話がメインだった『丕緒の鳥』の対となる作品

楽俊や祥瓊等、個人的に好きな人物の成長を感じることもできた

表題作の「華胥の夢」は、十二国記には珍しくミステリー小説風味である

「責難は成事にあらず」という台詞は、心に響くものがあった

『道徳は復讐である』

永井先生ニーチェ入門書。

ニーチェの思想に含まれるルサンチマンや、ニーチェの哲学的実力の不足への言及等、ニーチェを客観的に捉えることができるようになる良書である。

ソクラテスルサンチマンや、見えないヨーロッパ、ルサンチマン克服のための忘却といった新たな視点を得ることもできた。

『魔性の子』

十二国記の前に書かれた作品であり、十二国記のエピソード0。

他シリーズ作品よりホラー色が強めの作品。というかホラー小説。

この作品が十二国記シリーズよりも先に書かれている、ということは驚愕。

本作品を書いている段階で、十二国記の設定がどこまで著者の中に構築されていたのかが気になる。