短文置き場

読んだ本の感想等を200文字程度で書いていきたいです。

『ゴーストハント1 旧校舎怪談』小野不由美

Audibleで聴きました。 声優の安國愛菜さんがナレーターとして参加しており、キャラクターの違いを上手に演じ分け、とても聞きやすい朗読でした。特に主人公の困った時の声は特徴的で可愛らしかったです。 本書のテーマである霊現象について、丁寧な文章から…

「名探偵コナン ゼロの執行人」

許せませーん! 最後のカーチェイスのシーンは迫力があってよかった ただ、蘭が死にそうで、助けるための計算をしているときに唐突に安室さんに彼女の有無を聞くのは、自分の思うコナン像からかけ離れていて違和感がある 88231さんが、人の本の上にコー…

『理科系の作文技術』木下是雄

アウトライナーの新たな利点に気づいた本 技法の一つとして、各段落の頭に内容の要約となる「トピック・センテンス」を置くことの重要性が書かれていた 自分が書きやすいから、という理由でアウトライナーを使っていたが、無意識的に読者が読みやすい文章に…

『ファスト教養』レジー

最近本屋で見かける「教養本」批判の本だと思い読んだが、「自己責任論」等の現代特有の考えを、発生原因から対処法まで幅広く書いてあり、いい意味で裏切られた本だった 人と話題を合わせるために、人から評価されるために学ぶのではなく、自分が好きな分野…

「ブラック・フォン」

ホラー映画の皮を被った王道バトル映画 死んだ仲間の声を聞き、敵の罠を避け、暗号を解き、どんどん強くなっていく主人公 途中で武器を持ってステップを踏むシーンが、私には修行編にしか見えない とどめの決め台詞がストレートで、めっちゃ格好良かった! …

『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子

Audibleで聞きました 登場人物が驚くくらい嫌な人ばかりだった 皆が好きなものを嫌いとは言えない社会の息苦しさを書いた作品 遅くまで働きながら丁寧な生活をするって難しいよね 確かに「食事」という行為は、社会の中でどこか神聖化されているのかもしれな…

『バッタを倒しにアフリカへ』前野ウルド浩太郎

Audibleで聞きました 自分の好きなことに取り組むことの素晴らしさ、学者として生きることの難しさ、モーリタニアという国の良さ等、いろんなものを感じられる本だった 著者は大学教授だが、文体も固くなく、最初から最後までおもしろく読めた 現地の人たち…

「ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り」

有名TRPGのD&Dが元ネタの映画 正統派のファンタジーファミリー映画だった 中だるみもなく、終始楽しく見ることができた。 「ここ・そこの杖」がまんま「Portal」だったのは面白い 死者に5回だけ質問ができるのは、ルルブを意識したネタなのかな ソフィア・…

『クビツリハイスクール』西尾維新

戯言シリーズの3冊目 結構序盤から「最強の請負人」が動いていたため、物語を動かしにくいんじゃないかと思っていたが、逆手に取られてしまった 魅力的な登場人物達をこんなにあっさりと退場させられるのは、なかなかできないと思う トリックは、やっぱり森…

『九段下駅 或いはナインス・ステップ・ステーション』マルカ・オールダー他

4人の著者による連作小説を、4人の訳者で翻訳している面白い本 収録されている短編はどれも完結に面白くまとまっている 世界観の説明がもう少しあるともっと読みやすくなると思うが、連作では難しいか うちはサスケの話題や、お台場のユニコーンガンダムの…

ChromebookでのDynalistのショートカットについて

普段DynalistをChromebookで利用しているのですが、キーボードの配列が特殊なため、ショートカットキーがマニュアルと違って困ることが多いです。 同じ悩みを持つ人がいるかもしれないので、備忘録を兼ねて記事にしておきます。 なお、使用している端末はLen…

「 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

とにかく圧倒されました トンデモ映画という評価も見かけたが、本格的なSF映画だと思います 主人公と悪役の他者からの理解に対する姿勢の対比が良い(相手に寄り添う↔相手を自分と同じ状況にする) 「人間の多様性」というテーマに対する大事の姿勢を表せて…

『容疑者Xの献身』東野圭吾

今更読みました。 途中で天才数学者の石神の目的が分かったときには驚いた 湯川と石神が友人でなければ、今回の事件は解けなかったかもしれない 犯人側の人間性の掘り下げが多く、読んでいて楽しかった 最後のシーンで石神はどんな気持ちだったか、自分には…

『AI監獄ウイグル』ジェフリー・ケイン

まるでディストピア小説のような世界が現実の世界で起きている、という内容に驚く 本当にこれがノンフィクションなのか 過去のファーウェイへのバッシングに対してあまり注意を向けていなかったが、こんなに恐ろしい事実が原因だったとは知らなかった 世界情…

『給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く』ジェイク・ローゼンフェルド

給与の額は「個人の実績にもとづくもの」であり、「その職業の重要性」が反映されているという一般的な理解を否定し、「権力」「慣性」「模倣」「公平性」の4つの要因が給料の額を決定していることがわかりやすく書かれている 皆が豊かになるために、まず社…

「黒井戸殺し」

クリスティーの「アクロイド殺し」を、三谷幸喜の脚本でドラマ化した作品 昭和の日本という舞台で違和感無く原作を再現できているのはすごい 役者のチョイスも良かった(特に主人公の大泉洋さん、執事の藤井隆さん) 最後のシーンで、原作では書かれていなか…

『自炊力: 料理以前の食生活改善スキル』白央篤司

自炊に苦手意識があるため読んだ。 ・味噌汁やスープだけでも作ってみる。冷凍野菜を足してみる。 ・塩分を減らし、食物繊維を増やす。 の2つだけなら、実践できるかなと思った。 本書に出てきた「有賀薫」さんを検索したら、レンジで作る味噌汁のレシピが…

『法治の獣』春暮康一

生物学メインのSF短編集 「主観者」と「方舟は荒野を渡る」が好み 自分の意識や体は体内の細胞の生活の結果であり、逆に、自分の生活も大きな知性の一部の可能性があるという様々な驚きを感じられた本 本書では地球人は他の生態系に影響を与える側だったが、…

『流浪地球』劉慈欣

『三体』の作者の短編集 表題作は、「地球エンジン」を作って地球ごと宇宙航行をするという、とてつもなくスケールの大きい話で、読んでいて爽快感を感じる 「山」の「泡世界」という世界設定はとても面白かった 自分はとても広い宇宙の一部で、何にも知らず…

『白銀の墟 玄の月』小野不由美

全4巻の超大作 作中の「過去に積み上げた小さな石が、知らぬ間に集まって大きな結果をもたらしてくれた」という言葉が、この話の全てだと思う 『魔性の子』での辛い経験すら力に変えて、あの幼い泰麒がここまで成長するなんて驚いた 貧しい生活の中でも、川…

『黄昏の岸 暁の天』小野不由美

『魔性の子』の裏で、十二国記で起こっていた出来事が描かれる。 陽子の王としての成長は喜ばしいが、あんなに希望に満ちていた戴極国がすぐに混乱に陥っていたことへの衝撃が大きい。 話はここから!というところでこの巻は終わってしまう。 続刊の出版は1…

『華胥の夢』小野不由美

十二国記シリーズの短編集 「政治」に焦点があり、「民」の話がメインだった『丕緒の鳥』の対となる作品 楽俊や祥瓊等、個人的に好きな人物の成長を感じることもできた 表題作の「華胥の夢」は、十二国記には珍しくミステリー小説風味である 「責難は成事に…

『道徳は復讐である』永井均

永井先生のニーチェ入門書。 ニーチェの思想に含まれるルサンチマンや、ニーチェの哲学的実力の不足への言及等、ニーチェを客観的に捉えることができるようになる良書である。 ソクラテスのルサンチマンや、見えないヨーロッパ、ルサンチマン克服のための忘…

『魔性の子』

十二国記の前に書かれた作品であり、十二国記のエピソード0。 他シリーズ作品よりホラー色が強めの作品。というかホラー小説。 この作品が十二国記シリーズよりも先に書かれている、ということは驚愕。 本作品を書いている段階で、十二国記の設定がどこまで…

『GOTH 夜の章・僕の章』

第3回本格ミステリー大賞の受賞作。 7篇を収録した短編集。ラノベ的な文章は正直苦手なのだが、後半(僕の章)からはミステリ色が強くなり、楽しく読めた。 最後の短編「声」は面白かった。その他の短編の描写の全ては、この最後の話を成立させるため下準…

『丕緒の鳥 十二国記』小野不由美

十二国記シリーズの短編集。 解説にある「十二国記は民の物語である」ことを最も表している作品。 「丕緒の鳥」と「青条の蘭」が良かった。特に後者は、最後で民が協力して王へ荷物を運ぶシーンは号泣してしまった。話の締め方も静かで綺麗だった。 本シリー…

『図南の翼 十二国記』小野不由美

珠晶が供王になるまでの物語。 珠晶にある王の器に周囲が徐々に気づいていき、皆の信頼を得ていくストーリー展開がすごく面白かった。頑丘の不器用さは景麒を思い出す。 珠晶の昇山の理由が語られるシーンでは思わず泣いてしまった。 巻末の解説にもあるとお…