短文置き場

読んだ本の感想等を200文字程度で書いていきたいです。

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『白銀の墟 玄の月』小野不由美

全4巻の超大作 作中の「過去に積み上げた小さな石が、知らぬ間に集まって大きな結果をもたらしてくれた」という言葉が、この話の全てだと思う 『魔性の子』での辛い経験すら力に変えて、あの幼い泰麒がここまで成長するなんて驚いた 貧しい生活の中でも、川…

『黄昏の岸 暁の天』小野不由美

『魔性の子』の裏で、十二国記で起こっていた出来事が描かれる。 陽子の王としての成長は喜ばしいが、あんなに希望に満ちていた戴極国がすぐに混乱に陥っていたことへの衝撃が大きい。 話はここから!というところでこの巻は終わってしまう。 続刊の出版は1…

『華胥の夢』小野不由美

十二国記シリーズの短編集 「政治」に焦点があり、「民」の話がメインだった『丕緒の鳥』の対となる作品 楽俊や祥瓊等、個人的に好きな人物の成長を感じることもできた 表題作の「華胥の夢」は、十二国記には珍しくミステリー小説風味である 「責難は成事に…

『道徳は復讐である』永井均

永井先生のニーチェ入門書。 ニーチェの思想に含まれるルサンチマンや、ニーチェの哲学的実力の不足への言及等、ニーチェを客観的に捉えることができるようになる良書である。 ソクラテスのルサンチマンや、見えないヨーロッパ、ルサンチマン克服のための忘…

『魔性の子』

十二国記の前に書かれた作品であり、十二国記のエピソード0。 他シリーズ作品よりホラー色が強めの作品。というかホラー小説。 この作品が十二国記シリーズよりも先に書かれている、ということは驚愕。 本作品を書いている段階で、十二国記の設定がどこまで…

『GOTH 夜の章・僕の章』

第3回本格ミステリー大賞の受賞作。 7篇を収録した短編集。ラノベ的な文章は正直苦手なのだが、後半(僕の章)からはミステリ色が強くなり、楽しく読めた。 最後の短編「声」は面白かった。その他の短編の描写の全ては、この最後の話を成立させるため下準…

『丕緒の鳥 十二国記』小野不由美

十二国記シリーズの短編集。 解説にある「十二国記は民の物語である」ことを最も表している作品。 「丕緒の鳥」と「青条の蘭」が良かった。特に後者は、最後で民が協力して王へ荷物を運ぶシーンは号泣してしまった。話の締め方も静かで綺麗だった。 本シリー…

『図南の翼 十二国記』小野不由美

珠晶が供王になるまでの物語。 珠晶にある王の器に周囲が徐々に気づいていき、皆の信頼を得ていくストーリー展開がすごく面白かった。頑丘の不器用さは景麒を思い出す。 珠晶の昇山の理由が語られるシーンでは思わず泣いてしまった。 巻末の解説にもあるとお…